【詩集 八月の蛇】小西誠
八月の蛇
石の庭を凝視しながら
蛇行の姿勢のまま
固まった蛇
ことのほか暑かった夏日
雷神の暗示にかかって固まった
八月の蛇は
あの閃光を浴びたわけではないのに
石の影まで行き着けず
化石のように
固まったのであろうか
何よりも
蛇が嫌いだという妻が
悲鳴を上げたときも
蛇はしっかりと
石の影を見つめていた
アオダイショウというには
まだ幼いが
この星への怨念を含んだ
眼光だけは
赤く燃えていた
★表紙にスレあり
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